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アニソンVJ作戦会議 座学講義 その1.1 「映像の誕生からVJに繋がる模倣子」

アニソンVJ作戦会議お疲れ様でした!

東京も所により小雪のちらつく寒波の最中でしたが

おかげさまで満席の盛況でした。

お集まりいただいた皆さん、本当にどうもありがとうございました!

進行 ちへ(Re:animationオーガナイザー)

VJ講師 Spike-Bloom

DJ 銀星

協力 フジヤエービック ディリゲント

この作戦会議では以下のようなテーマを軸にお話しさせていただきました。

座学編として

・アニメクラブイベントでVJに使用する映像に関して

 著作権上の問題を回避しながら、オリジナルのシーンを作るには

 自分たちでオリジナルの素材を作って行くしかないのではないか?

・オリジナルのVJ素材を作るには、どのようなアプローチが考えられるか?

実演編として

・実際にAftereffectsを使用しながら、映像制作の工程を見る。

・プレイに組み込んだ際、ビデオミキサーを使用して映像の演奏を行う。

とても熱意のある参加者の熱気にあてられて、一瞬で時間が過ぎ去ってしまい

まだまだ議論したいところも多数ありました。

ぜひ続けて開催していきたいイベントでした。

 

今までのブログでは、実践的にAftereffectsを使用した制作方法の説明にページを割いてきたのですが、今回この座学パートについて少し補足しながらお話をしたいと思います。

まず、抽象的な映像(いわゆるVJ映像)を使用したVJについて

抽象映像芸術の初期の作品を見ると、実はその表現の影響が今のVJのシーンまで脈々と続いていることがわかってきます。

ここでは映像の歴史とともに、その伝統の模倣子について振り返ります。

これは世界で一番最古の動画と言われているエドワード・マイブリッジの作品 1878年の作品です。

「レース中の馬は両足が地面から離れているのか?」という賭けを成立させるために 走る馬を連続撮影した写真から作られたと言われています。 この時人類が手に入れたのは

「パラパラ漫画の仕組みで映像が動いて見える!」という衝撃でした。 エドワード・マイブリッジはこの後、この動画作成の手法を使って 様々な動物の歩きや、人間の動作に関しての資料を残しています。

「ものが動いて見える!」という 映像の初期の純粋な喜びがそのまま映像になったような とてもみずみずしい感動にあふれていますね。 「映像の祖」と言われているマイブリッジの遺産は 当然ながら様々な映像監督からリスペクトを受けています。

映像の背景にグリッドを使用したのも当然ながら世界で一番最初

です

ヴァーチャルスタジオやモーションキャプチャーのスタジオフォーマットなど 全ての基本と言っても構わないでしょう。

彼がその後の映像に与えた影響は計り知れません。

"背景にグリッド"を使用したミュージックビデオがあったら 間違いなくマイブリッジへのリスペクトで作られています。

日本の作品では宇多田ヒカルのTravelingが一番わかりやすいですね 背景グリッドでテクテク歩く平面的な動きはまさにマイブリッジです。 (わざわざハイスピード撮影してコマ落とし感を強くしています)

この映像は1984やメトロポリスなどの古典映画のディストピア、不思議の国のアリスやかぐや姫、眠り姫やジャックと豆の木などの様々な寓話のイメージのパッチワークで作られています。

ただ組み上げただけだと全体にごちゃごちゃしてしまいますよね

なので時計や時間軸を示す映像が続いた後、時間をぶっ飛ばすアイコンとして

最古の映像イメージを引いてきているわけです。

映写機が映る後に挿入されているので監督の意図がわかりやすいですね。 「走る馬」も、イメージサンプリングの元ネタとして、もっとも有名な素材で 覚えておいて損はないと思います。

The Chemical Brothers - Horse Power

このMVでは なんでフィルムノイズが使われていて、何を表現しているのか?

なぜモーションキャプチャーしてポリゴンのCGの馬を走らせているのか?

ここまで読んでいただけたらお分かりかと思います。

この作品は

「表現にまつわる最古からのパワーを

 俺たちはデジタルで受け継いでいるんだぜ!」

って言う高らかな宣言です。

さて、話を抽象映像に戻します。

これはハンス・リヒターというドイツのダダイズムの作家が1921年に発表したもの もっとも初期のモーショングラフィックの一つ。 画面構成と動きという、ものすごく単純な要素だけで構成されています。 ここにはダダイズム運動の影響が強く現れているのですが

「黒地に白のコントラストで、動きを描く」という 現在のVJの手法の超基本的なフォーマットが既にここにはあります。 このフォーマットは王道として、多数の作品がこの流れの中で生まれてくるわけです。

Marcel Duchamp - Anemic Cinema

Man Ray. Le Retour A La Raison (The Return to Reason), 1923

Fernand Leger - Ballet mecanique (1924)

我々VJが使う抽象映像の起源は、映像の本当に初期の初期から生まれていて そして今「リアルタイムに映像を演奏できる」という段階に進化したばかりだ という目線をぜひ持っておいて頂きたいと思います。 「我々の表現は、決して昨日今日始まったものではない」

という認識が、これから抽象映像でのVJをプレイして行く際に大きな励みになるかもしれません。

映像のレガシーと、ダンスフロアでのVJは確実に繋がっているのです。 そういう目線に気がつくと YMOのメンバー坂本龍一氏がこの曲に込めた想いも伝わってくるのではないでしょうか?

温故知新ですね。

Ballet Mecanique Sakamoto Ryuichi

テクノと電子音楽、ダンスフロアにつながってきましたねw もう少し「実験映像」の世界に触れてから現在のVJまで辿って行きたいので 何回かに分けて少し座学的なことを書いて行きますのでお付き合いください。 Have a Nice party !!

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